- 論説 -
古倶知安湖の検証:北海道倶知安町の後期更新世堆積物の微化石分析 [PDF link]
嵯峨山 積・関根達夫・星野フサ
総合地質, 4巻, 1–7 頁
要旨
後志地域の羊蹄山北域に広がる倶知安町周辺には湖(古倶知安湖)が存在していたとされている.湖の形成時代や広がりなどを検証するために縞状堆積物を含む後期更新世の地層について珪藻と花粉の分析を行った.珪藻分析では浮遊性淡水生種の多産から湖沼性の堆積環境が推定された.花粉分析ではPiceaや CYPERACEA などが優勢で,現在よりも冷涼な環境が想定された.分析用試料の採取層は真狩別層と考えられるものの,より詳細な地質年代を明らかにする必要がある.
- 論説 -
北海道札幌市北区の上部更新統~完新統ボーリング層序;札幌扇状地堆積物の基底年代とMIS 5aの海面高 [PDF link]
嵯峨山 積・井島行夫・岡村 聡・阪田義隆
総合地質, 4巻, 9–18 頁
要旨
札幌市北区で長さ44.00 m のN 8・1 コア(後期更新世~完新世堆積物)が採取され,同堆積物の層序や堆積環境の解明のために火山灰分析と珪藻分析を行った.火山灰分析で深度43.58 m 前後で約10.6 万年前降灰の洞爺火山灰(Toya)を,深度19.42 m 前後で約4.1 万年前噴出の支笏軽石流堆積物(Spfl)の挟在層準を認定し,珪藻分析で深度24.35 m 前後のシルトの堆積環境は淡水域であったことを明らかにした.札幌扇状地堆積物の堆積開始は後期更新世のMIS 5e,またはそれ以前と考えられる.N 8・1 と北大地盤観測井(HU),地質研究所井(GSH)に挟在する泥質物の堆積環境から,MIS 5aの最高海面は標高- 13 m 前後と推定した.
- 報告・資料 -
インド・デカン高原をたずねてー2020 年3 月インド訪問報告 [PDF link]
山岸宏光
総合地質, 4巻, 19–26 頁
要旨
2020 年3 月初旬に,インド西部のムンバイの近くのプネ大学から招聘され,同大学の概要を視察したことと,広大なデカン高原玄武岩の地質の概要を見ることができた。報告では,その景観,溶岩・岩脈,火山砕屑岩の産状やそれに関わる地すべり・崩落,岩石に彫られた仏教遺跡,溶岩の空隙に発達する貴重な鉱物などを紹介する.
- 報告・資料 -
韓国Jeju 島のジオパークを訪ねて-2019 年第12 回アジア地域応用地質学会(12th_ARC of IAEG, 2019)に参加 [PDF link]
山岸宏光・Dou Jie
総合地質, 4巻, 27–34 頁
要旨
2020 年3 月初旬に,インド西部のムンバイの近くのプネ大学から招聘され,同大学の概要を視察したことと,広大なデカン高原玄武岩の地質の概要を見ることができた。報告では,その景観,溶岩・岩脈,火山砕屑岩の産状やそれに関わる地すべり・崩落,岩石に彫られた仏教遺跡,溶岩の空隙に発達する貴重な鉱物などを紹介する.
- 自由投稿 -
樽前山1874年噴火を見た人たち [PDF link]
宮坂省吾
総合地質, 4巻, 35–42 頁
- 論文紹介 -
君波和雄England, P.C. and Katz, R.F., 2010, Melting above the anhydrous solidus controls the location of volcanic arcs. Nature, 467, doi:10.1038/nature 09417.
Ribeiro, J.M., Ishizuka, O., Lee, C.-T.A. and Girard, G., 2020, Evolution and maturation of the nascent Mariana arc. Earth Planet. Sci. Lett., 530, doi. org/10.1016/j.epsl.2019.115912.
Liu, J., Sun, H., Wang, Z., Xia, Q. and Li, W., 2020, Continuous water supply from the subducted pacific plate to the Eastern Asian big mantle wedge: New insights from the water content of late Cretaceous OIB-like basalts. Lithos, 352-353, doi.org/10.1016/j.lithos.2019.105249.
Lin, Y., Zhang, C., Li, C. and Deng, H., 2020, CFrom dextral contraction to sinistral extension of intracontinental transform structures in the Yanshan and northern Taihang Mountain belts during Early Cretaceous: Implications to the destruction of the North China Craton. Jour. Asian Earth Sci., 189, doi. org/10.1016/j.jseaes.2019.104139.
Koulakov, I., Kukarina, E., Fathi, I.H., Khrepy, S.E. and Al-Arifi, N., 2015, Anisotropic tomography of Hokkaido reveals delamination-induced flow above a subducting slab. Jour. Geophys. Res.: Solid Earth, 120, 3219−3239.
・第7巻1号
・第6巻1号
・第5巻1号
・第4巻1号
・第3巻1号
・第2巻1号
・第1巻1号
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