日高山脈幌尻岳のサファイア

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9月の誕生石であるサファイヤは,コランダム(Al2O3)という鉱物で,赤いものはルビーと呼ばれる.コランダムはダイヤモンドについで硬い鉱物である.このサンプルは日高山脈幌尻岳地域で採取されたもので,変成トロクトライト(緑色部:カンラン石→角閃石.白色部:斜長石)中に脈状に出現する.標本の横幅は 15 cm ほどで,このサファイヤ脈の厚さは 2 cm にも達する(上写真).脈中に見えるピンク色のスポットは “ルビー化” した部分である.下のサンプルも同様だが,変成トロクトライトの風化した表面に数ミリ程度の厚みをもって青紫色のサファイヤが出現している(サンプルの横幅は 8 cm).サファイアは斜長石に富んだトロクトライトの変成作用の過程で,外部から供給された水の関与した複雑な化学反応によって形成されたものである.幌尻岳地域には,日本で初めて発見されたサフィリンという希少鉱物も産する.(宮下純夫)

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