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第 2 回公開講座(北海道教育委員会主催 道民カレッジ連携講座指定, 一般社団法人 北海道地質調査業協会後援):地形・地質から北海道の自然災害を考える –北海道で起きている自然災害の状況と, 自然災害の犠牲にならないための基礎知識を学ぶ–(6 回シリーズ, 2018 年 5 月–2018 年 9 月)

近年, 多発する自然災害は日本の各地に大きな被害をもたらしています. HRCG は 北海道で起きている自然災害の状況と, 自然災害の犠牲にならないための基礎知識をやさしく学ぶ市民向けの公開講座(6 回シリーズ)を開催いたします. この講座は 北海道教育委員会主催 平成 30 年度前期 道民カレッジ連携講座(地域活動コース)に指定されていますが, 道民カレッジを受講していなくても, 関心をお持ちの方はどなたでも受講することができます. 各回には参加定員があり, 受付は先着順となります. また資料作成費用などを含む受講料が必要です. 6 回の講座の全てを受講することが歓迎されますが, 関心をお持ちの回のみの受講も可能です. この公開講座の広報用の資料はこちらから入手可能です. 受講申し込みは HRCG Office (office@hrcg.jp, 080-3296-8848) までお送りください.


その1:なぜ日本列島には自然災害が多いか [終了しました]
主な内容:日本列島の地形・地質, 地球温暖化と災害, 災害と地形, 地質の見方とポイントを解説する
日時, 会場:2018/5/19 (土) 09:30–11:30, かでる 2.7 北海道立道民活動センター 550 会議室
講師:山岸宏光(北海道総合地質学研究センター)
受講定員:40名.受講料(資料代を含む):1,300 円.当初の受講申し込み期限は 5/9 でしたが, 定員までまだ余裕がありますので, 引き続き申し込みを受け付けております. 希望される方は office@hrcg.jp あるいは 080-3296-8848 までお申し込みください). チラシ (pdf 版) は こちら からダウンロードすることができます.

その2:地震火山列島日本 [終了しました]
主な内容:地震火山列島日本, 火山噴火による災害, 地震による災害, 丘陵・山地の災害, 平野の災害などを説明する
日時, 会場:2018/6/16 (土) 13:30–15:30, かでる 2.7 北海道立道民活動センター 550 会議室
講師:山岸宏光(北海道総合地質学研究センター)
受講定員:40名.受講料(資料代を含む):1,300 円.受講申し込み期限 6/6 (余裕があれば前日まで受付). チラシ (pdf 版) は こちら からダウンロードすることができます.

その3:土砂災害(地すべり・崩壊・土石流)と河川氾濫 [終了しました]
主な内容:土砂災害と河川氾濫はいつどこでおきるか. 地すべり・崩壊・土石流, 岩石崩落などについて解説する
日時, 会場:2018/7/14 (土) 13:30–15:30, かでる 2.7 北海道立道民活動センター 550 会議室
講師:山岸宏光(北海道総合地質学研究センター)
受講定員:40名.受講料(資料代を含む):1,300 円.受講申し込み期限 7/4 (余裕があれば前日まで受付). チラシ (pdf 版) は こちら からダウンロードすることができます.

その4:北海道の災害は本州とどう違うか
主な内容:北海道の災害は本州とどう違うか. 北海道の地形・地質の特性と災害, 本州と四国の災害を例に解説する
日時, 会場:2018/8/18 (土) 13:30–15:30, かでる 2.7 北海道立道民活動センター 1010 会議室
講師:山岸宏光(北海道総合地質学研究センター)
受講定員:40名.受講料(資料代を含む):1,300 円.受講申し込み期限 8/8 (余裕があれば前日まで受付). チラシ (pdf 版) は こちら からダウンロードすることができます.

その5:防災情報とはどんなもの?
主な内容:防災情報とはどんなもの?それはどこにあるか?その活用法, 地理情報システムなどを討論(我が家の防災マップなど)
日時, 会場:2018/9/15 (土) 13:30–15:30, かでる 2.7 北海道立道民活動センター 550 会議室
講師:山岸宏光(北海道総合地質学研究センター)
受講定員:40名.受講料(資料代を含む):1,300 円.受講申し込み期限 9/5 (余裕があれば前日まで受付). チラシ (pdf 版) は こちら からダウンロードすることができます.

その6:地すべり地形見学
主な内容:手稲山巨大地すべりの地形見学. 地すべり地形の特徴, 扇状地, 砂防施設など, 地すべり地の諸現象を野外見学する
日時, 集合解散場所:2018/9/29 (土) 13:00–16:00, JR 手稲駅
講師:宮坂省吾(北海道総合地質学研究センター)・山岸宏光(北海道総合地質学研究センター)
受講定員:25名.受講料(資料代・移動経費・保険料を含む):3,000 円.受講申し込み期限 9/19 (余裕があれば前日まで受付). チラシ (pdf 版) は こちら からダウンロードすることができます.


第 9 回研究セミナー

日時: 2018/07/21 (土曜) 13:00–16:00
場所: かでる 2.7 北海道立道民活動センター 740 研修室 (札幌市中央区北2条7丁目)

この研究セミナーの広報用の資料は こちら から入手可能です.

終了しました. 参加者 13 名 (会員外 3 名を含む).

講演 1 (13:10–14:40)

川村信人 (北海道総合地質学研究センター・元北海道大学理学研究院)
“岩清水古陸”−エゾ海盆中の前弧リッジ

講演要旨:

北海道の中央部(空知−エゾ帯)には,白亜紀の前弧海盆堆積体である蝦夷層群(Yezo Group)が南北に狭長に分布する.蝦夷層群はその名が示す通り北海道(蝦夷)を代表する地層で,アンモナイトや恐竜化石の産出で知られている.しかしながら,蝦夷層群あるいはそれが堆積した海域(エゾ海盆)の発達史やテクトニクスについては,まだ解明されるべきことが残されている.

蝦夷層群は,砂岩・泥岩を主体とする陸源性砕屑岩からなり,全体の厚さは8,000 m以上の厚い地層である.その中には不整合現象の存在が古くから指摘されており,猪間(1969)はそれが示す変動を『中蝦夷地変(Intra-Yezo Disturbance)』と呼んだ.この不整合(中蝦夷不整合と呼ぶ)の存在については,西・高嶋(1999)によって疑問が表明されたが,川村ほか(1999),Ueda et al.(2002)によっていくつかの地域で再確認されている.現在のところ中蝦夷不整合が確認されたのは,空知−エゾ帯の南部地域の東側(蝦夷東帯)に限定されている.つまり中蝦夷不整合は蝦夷層群にとって普遍的なものではなく,ローカルなものである.

中蝦夷不整合自体は1950年代から知られていたわけであるが,川村ほか(1999)などによってはじめて明らかにされた重要な事実は,『蝦夷層群中部層準が低温高圧型変成岩(神居古潭付加体)を不整合に覆う』ということであった.神居古潭付加体の変成年代は白亜紀前期から最末期(〜一部古第三紀)にわたるので,白亜紀前期の蝦夷層群前弧海盆堆積体がそれを不整合に覆うということは,ある意味パラドクシカルなことである.

最近,今津ほか(2015)によって,中蝦夷不整合の示すハイエタスが15 my以下であることが砕屑性ジルコン年代からあきらかになった.このことと神居古潭付加体の変成深度から,不整合を形成した変動の上昇速度は0.1〜0.3 cm/yと見積もられる.これは,静穏な陸域の上昇速度のおよそ10倍以上の速度になり,例えば日高衝突山脈の上昇速度にも匹敵するものである.一般に前弧域はテクトニックに静穏な海盆域であり,この上昇速度については何らかの説明が必要である.

ここで注目されるのは,『前弧リッジ(Forearc Ridge)』(Pavlis and Bruhn, 1983)の概念である.前弧リッジは前弧域に発達する狭長な陸域(上昇帯)で,小アンティル諸島やアリューシャン弧の東部などにその典型例がある.それでは,前弧リッジに付加体変成岩類が露出する例はあるのだろうか? その実例は,エーゲ海にある Hellenic Arc である(Marsellos et al., 2010).ここでは,低温高圧型変成作用を受けた含Na角閃石変成岩ユニット(冷却年代:9〜14 Ma)がリッジ中央部に露出し,その上位には低角デタッチメント断層を介して新第三紀以前の炭酸塩岩・フリッシュ互層が載っている.Marsellosらによると,このような付加変成体の上昇は,アフリカプレートの沈み込み速度の急減少によって前弧域に発生した伸長変形による.

これらのことから,岩清水古陸は約110 Ma前後にエゾ海盆中に出現した前弧リッジであり,100 Ma前後に再び海中に没したと考えられる.リッジの構成地質体として低温高圧型付加変成岩が含まれることから,上昇の“根(root)”は前弧海盆基盤の下底部にあると推測される.このような前弧リッジの形成要因は今のところ不明であるが,海山体の連続付加の影響などが考えられている.


講演 2 (14:50–15:30)

前原 恒祐・磯貝 晃一・伊藤 和伯・山田 岳史 (株式会社 開発調査研究所)
寒冷地露岩斜面の岩盤内部温度の季節変動と初夏に発生する岩盤崩壊のメカニズムに関する考察

講演要旨:

筆者らは,これまでに幾つかの研究会で発表タイトルとほぼ同様の内容を発表済みだが,改めて有識者の方々に我々の発表内容を聴講して頂き,アプローチや結果の妥当性に対する評価を,また今後の課題・検討方針に対する御意見を伺いたく,今回HRCG研究セミナーの場をお借りし発表させて頂く.

近年,ヨーロッパの山岳地域では岩盤斜面の不安定化が与える社会資本への影響が深刻化していることから,気候変動と岩盤斜面の不安定化との関係の有無について幾つかの議論がなされている.地形学分野では,寒冷地の地形発達に纏わるグローバルプロセスについて気象・気候変動と凍土層の形成・ソリフラクション・斜面不安定化の関係等,様々な視点からの議論が昔からあるが,気象・気候変動と岩盤斜面の不安定化の詳細メカニズム・プロセスについて基本的にきちんとした議論がなされておらず,先に述べた問題の深刻化により,近年ようやく取り組みがなされ始めた段階である.

問題となっている高所山岳地域では,それまでマイナス温度環境にあった岩盤斜面が気候変動の影響を受けプラス温度環境に転じる機会が多くなったことで,斜面の不安定化に岩盤斜面の凍結‐融解作用が影響していると考えられており(Gruber et al. 2004 ),北海道のように厳冬期と夏期の寒暖差の大きい寒冷地岩盤斜面でも,影響の大小はあるにせよ, 岩盤斜面の不安定化には基本的に同じメカニズムが作用している可能性が考えられる.

このことから、北海道で起こっている初夏の岩盤斜面の不安定化と高所山岳地域で起こっている斜面不安定化の詳細に関しては,それぞれの基盤岩の岩質,地質構造,風化度,日射量等,ローカルな様々な細かい条件に依存するかも知れないが,共通点となる岩盤の凍結(—融解作用)が斜面の不安定化を引き起こす基本プロセスの一つであり,誘因の一つとなっていると捉えて,初夏の岩盤崩壊の調査を実施した.

本発表では,平成26年の初夏に北海道恵庭市近郊で発生した岩盤崩壊に関し,約2年間に渡って実施した岩盤斜面内部温度の観測結果を中心に,調査地の岩盤崩壊の発生メカニズムについて考察する.

調査の結果,露岩表面から約3mの深さに厳冬期から約4カ月遅れとなる5月下旬~6月上旬頃に最深凍結部が形成されることが解った.また、この最深凍結部の深さは初夏の岩盤崩壊の厚さで3mと調和し、これまでに北海道で報告されている初夏の岩盤崩壊(天城岩崩壊・苔の洞門崩落)とも調和的である.

このことから,厳冬期から岩盤斜面内へ伝播し始めた0℃等温線が時間遅れで徐々に深部へ移動してゆく中,節理面の開口部を通じ岩盤内部に流入していた表流水・地下水等が開口節理面間で氷楔を形成し,その成長圧により節理面の開口量・開口面積が徐々に増大し,その後初夏頃に約4ヵ月の時間遅れで0℃等温線が到達した際の氷楔の成長圧や岩盤の凍結膨張による氷楔の前面への押し出しにより,不安定岩塊の重力変形による不安定化が急速に進行し一部岩盤の破断を伴いながらトップリング性の岩盤崩壊が発生したと考えた.


第 8 回研究セミナー

講演者:関根達夫 (北海道総合地質学研究センター)
講演タイトル:幻の湖「古藤野湖」
日時: 2018 年 3 月 3 日 (土曜) 13:00–16:00
場所: かでる 2.7 北海道立道民活動センター 620 会議室 (札幌市中央区北2条7丁目)
参加予約・参加費:不要

終了しました. 参加者 14 名 (会員外 4 名を含む).

講演要旨:

2003年,最終間氷期勉強会で豊平川地質巡検を開催するにあたり,豊平川周辺の文献を集めたり現地の下見を行った.その時,南の沢八垂別墓地付近の支笏火砕流堆積物の露頭を見て,石井次郎氏(元北海道東海大学教授)が提唱していた豊平川の堰止湖の存在を確信した.その後も堰き止め湖の証拠が残っていないか現地調査を少しづつ行っていた.


2014年に八剣山西口登山道の斜面に湖成層と考えられる地層を発見し,日本地質学会北海道支部や日本第四紀学会で「4.1万年前,支笏火砕流堆積物 (Spfl) が豊平川を堰止めて"古藤野湖"を形成した」という題で発表した.同年ようやく,石井次郎氏の豊平川の堰止湖の論文 (1986) を見つけることができた.


2014年以降も,八剣山山麓の砥山沢川の河川工事の切土面に湖成層と考えられる青粘土を確認したり,支笏火砕流堆積物の堰き止めダム上流端付近に当たる藤野地区に大きな切土面が出現し,支笏火砕流堆積物以前の砂礫層や支笏火砕流堆積物を削って堆積した砂礫層を確認したので,古藤野湖形成との関係を検討している.


今回は,石井次郎氏の「石山・硬石山ダム湖」と「古藤野湖」について紹介する.



研究セミナーは会員の研究成果の相互討論を目的に行われますが, 会員外にも公開されており, 関心をお持ちの方はどなたでも自由に参加し, 討論に加わることができます. 講演要旨を含む広報用の資料はこちらから入手可能です.


第 7 回研究セミナー

講演者:山岸宏光 (北海道総合地質学研究センター)
講演タイトル:水中火山のはなし –NHK ブラタモリ室蘭 (2017年11月25日放映) に関連して–
日時: 2018 年 2 月 3 日 (土曜) 14:30–16:00
場所: かでる 2.7 北海道立道民活動センター 920 会議室 (札幌市中央区北2条7丁目)
会員以外の方でも関心をお持ちの方はどなたでも自由に参加することができます. 参加は無料ですが, 資料代 300 円が必要です. また予約は不要ですが, 会場の収容人数に制限があるため, 先着順とさせていただきます. なお, このセミナーに関するお問い合わせは北海道総合地質学研究センター (office@hrcg.jp) までおよせください. 講演要旨を含む広報用の資料はこちらから, ポスターはこちらから入手可能です.


終了しました. 参加者 57 名 (会員外 45 名を含む).

講演要旨:

NHKブラタモリという番組では, 地学の話題がよく出てくる. そのなかで, とくに、ブラタモリ熱海では、水冷破砕溶岩という言葉が、同知床では水冷破砕岩、また、2017年11月25日に放映された同室蘭では、演者が出演して、「水冷破砕岩」という用語の創始者として紹介され、地球岬やトッカリショなど、室蘭八景の海側から見た、「水中火山」のでき方を解説した。


この室蘭絵鞆半島外側の断崖の地質や岩石については、最近の知識で解説したものはなかったため、その取材にあわせて、室蘭市が公開しているオープンデータの解析に始まり、セスナ機((株)シン技術コンサル)による斜め写真撮影や現地調査を実施して、膨大なデータを収集して、貴重な資料を入手したと同時に、新たな知見を得ることができた。


このセミナーでは、あらためて、「ハイアロクラスタイト」(hyaloclastite)の和訳である「水冷破砕岩」の意味を解説して、ブラタモリ室蘭の番組作成に協力した際に取得した種々の画像データなどを主に紹介する。さらに、ほかのNHK番組(BSプレミアム国道5線トラック旅など)で紹介された積丹半島東海岸の露頭写真も紹介する。


地質屋がよく使っている「ハイアロクラスタイト」の日本語訳を、“水冷破砕岩”としたのは演者である(神恵内図幅など)が、この名称を使うことについては70年代には、いくつかの議論があったので、火山岩の分類をふくめて紹介する。


いずれにしても、2016年の日本地質学会(東京)では、天野一男さんらが、“グリーンタフルネサンス”と称して、中新世の海底火山の復元に関する研究が始まっている。1991-2000年の間に、「水底火砕岩研究会」(http://science.shinshu-u.ac.jp/~geol/Miyake/HP/suitei.html) として、10回の研究集会と巡検会が開催されてきたが、高齢化と、フィールドジオロジーの衰退によりそれ以降開催されていない。しかし、それに代わって、on line に「水中火山岩研究会」(http://kazan.okuyama.co.jp/)が2015年にたちあがり、少しずつ会員も増えている。わが国ではフィールドジオロジーそのものが“絶滅危惧種”である状況であるが、西の島新島の誕生や、JAMSTECなどの現海底による種々の調査も行われていて、多くのデータが提供されつつある。この機会に海中―水中の火山活動に興味をもってくれる若い人が増えれば幸いである。


第 1 回公開講座(北海道教育委員会主催 道民カレッジ連携講座指定):「札幌の失われた川を歩く」

終了しました. 受講者 16 名 (10/13), 12 名 (10/14).

講師・案内者:宮坂省吾 (北海道総合地質学研究センター)
日時:2017 年 10 月 13 日 (金曜) 13:00–17:00 かでる 2.7 北海道立道民活動センター 750 会議室にて事前の座学, 10 月 14 日 (土曜) 13:00–15:00 北大正門から北大植物園周辺を歩いて札幌の失われた川の痕跡をみる.


一日のみの参加も可能です. 参加費:13 日 500円, 14日 1,000円 (北大植物園入園料・保険料を含む). 事前の予約が必要です. 予約方法など, 詳細は広報用の資料をご覧ください.


第 6 回研究セミナー

終了しました. 参加者 9 名.

講演者:松田義章 (北海道総合地質学研究センター)
講演タイトル:地学教育の課題とその改善
日時: 2017 年 10 月 1 日 (日曜) 15:30–17:00
場所:北海道クリスチャンセンター 201 研修室 (札幌市北区北7条西6丁目)

講演要旨:

1 問題の所在:地学教育の課題として, 文部科学省や北海道教育委員会等の諸調査の結果から以下のような問題や課題が指摘されている. ① 地学的事象の多様性等の特性に起因する記載的な学習内容の多さ. ② 地学の学習が自己完結的なものに終始しがちで問題(課題)発見型のものや課題解決的なものになっていない. ③ 上記のことから, 児童や生徒は実際の地学的事象には興味や関心があるが, 地学の学習は暗記中心で学習自体に興味・関心が持てないといったことなどが挙げられている. 一方, 教師の側からの地学教育の課題として, 児童や生徒にどのような自然観に立った地球観を育成するのか?といった課題に対しては, 以下のような観点に立った地球観の重要性を指摘している. ① 現在性・斉一性(ユニフォーミタリアニズム). ② 歴史性.③ 相互関連性. ④ エネルギー論的な見方・考え方. ⑤ 平衡的な見方・考え方. ⑥ 進化する地球・惑星システム的な見方・考え方. 以下・・・等. なお, 文部科学省は, 小・中・高等学校の学習指導要領において, 地学の教育において育成すべき概念として以下の3つを挙げている. ① 時間概念の育成. ② 空間概念の育成. ③ 地球概念の育成. ただし, ③の地球概念というのはいかにも定義や実体が曖昧で意味不明なので, システム概念の育成とでも捉えた方が良さそうである. 本講演の発表では, 上記の課題を整理し, その課題の解決に向けて, 以下のような研究の構想を設定した. ① 地学教育および地学の学習の今日的な課題を改めて整理し提起する. ② 上記の①の課題を踏まえて地学の学習の改善に向けたプランを立案する. ③ 地学に関わる問題や課題の発見・追究・解決を重視した地学の学習の構築を図り実践を試みる. ④ 野外科学の手法(川喜田【1967】のW型の研究過程)を踏まえた学習の試行的な実践の事例を収集し, その成果と課題を明らかにする.


2 課題解決の方策:具体的な授業プランとその実践例〜W型の学習過程を踏まえた岩石や砂の学習例:① 岩石の分類の学習から, その結果得た知識や手法を活用して, 遺跡の石材のルーツを解明する探究的な学習の試み. ② W型の学習過程を踏まえた砂の学習:砂の構成鉱物や組成の学習からその結果得た知見を踏まえ活用して考古遺跡周辺の環境の変遷を探る探究的な学習の試み.


3 実践事例:火成岩の分類の学習とその知見および手法を活用する課題研究:【第1次】火成岩の分類のための岩石標本の観察学習(実験室内).【第2次】野外における火成岩の産状の観察実習.(野外の露頭)【第3次】課題研究:「北海道指定史跡・余市西崎山環状列石を構成する岩石とその由来を探る.」(野外および室内でのまとめ,および発表.)


(1) 研究の動機と目的:(省略)(2) 研究の方法:① 本遺跡を構成する岩石の配置について測量し, 個々の岩石ついて, 礫の大きさの計測, 形状や円磨度の検討, 岩種についての肉眼的な分類や鑑定. ② 周辺地域の地質や岩石の分布状況や産状について調査し, それらのデータを比較・検討して, 本遺跡を構成する岩石の由来について考察する. (3) 研究の結果:本遺跡を構成する213個の岩石について以下のような結果を得た. ① 礫の大きさについては, 巨礫が66%, 大礫が33%を占め, 特に50〜90 cmのものが約10%を占めていた. ② 礫の形状や円磨度の検討の結果, 角礫が49%, 亜角礫が30%を占めており, 特に柱状のものが全体の51%を占めていた. ③ 岩種は, 大きな柱状のもの(立ち石)はゼノリスを含むデイサイトが全体の94%を占めていた. (4) 考察:本遺跡の岩石は, その94%が本遺跡から約10 kmも離れた余市シリバ岬から運搬されたものであると推定される.


4 まとめ:本授業の実践によって, 従来, 記載的で暗記を強いる学習に終始していた岩石の分類の学習を, 課題解決的な学習として再構成することができた. 以上, 地学教育の諸課題について紹介するとともに, その改善の方策についても事例をもとに紹介する.



講演要旨を含む広報用の資料はこちらから入手可能です.


第 5 回研究セミナー

終了しました. 参加者 9 名.

日時: 2017 年 5 月 28 日 (日曜) 13:00–17:00
場所:札幌市生涯学習総合センター ちえりあ サークル活動室 1 (札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10)

講演タイトル
1. 嵯峨山 積:珪藻群集はどれだけ塩分濃度を反映しているのか:塩分指数による検討.
2. 嵯峨山 積・近藤玲介・重野聖之・百原 新・冨士田裕子・矢野梓水・宮入陽介・横山祐典:北海道北部猿払村の沖積層コアの珪藻分析.
3. 岡 孝雄・乾 哲也・奈良智法:厚真川上流の地形面区分と5万年前以降の環境変動の解明-厚幌ダム地域の遺跡調査に関連して-.
4. 岡 孝雄・大西 潤:然別湖北岸ヤンベツ川沿いの段丘堆積物の泥炭の14C年代と上位ローム中に検出された御鉢平起源の降下火山灰について.
5. 前田仁一郎・松田岳洋・中田周兵・Keewook Yi:中央北海道, 日高火成活動帯に産する鉄に富む深成岩類の岩石学・年代論.
特別講演. 中西 諒:北海道胆振海岸西部における17世紀津波堆積物の対比とその特徴.


第 4 回研究セミナー

終了しました. 参加者 11 名 (会員外 2 名を含む).

講演者:石﨑俊一 (北海道総合地質学研究センター)
講演タイトル:Madagascar 南部の地質と鉱物資源
日時: 2017 年 5 月 7 日 (日曜) 13:00–14:30
場所:かでる 2.7 北海道立道民活動センター 750 会議室 (札幌市中央区北2条西7丁目)

講演要旨:

日本国政府とMadagascar共和国が2008年から推進してきた鉱物資源開発のための技術協力プロジェクトで, 2010~2012年に延べ200日間現地に滞在して地表地質踏査および地質図作成に携わった. 本発表では, 現地調査およびその成果の一部を紹介する.


Madagascarはアフリカ大陸の東方に位置しており, 南北約1,500 km, 東西600 km(最大幅)で日本の約1.6倍の面積を有する島国である. 調査地域はMadagascar南部, 南緯23°12′~24°24′および東経45°18′~46°12′の範囲内で, 総面積は11,264 k㎡(秋田県の面積に相当)である. この地域を8区域に分割して1/10万の地形図を持参してルートマップを作成するとともに, 河床部で化学分析用の砂試料を採取した.


Madagascarはかつてアフリカ大陸東部・インド亜大陸・南極大陸とともに“ゴンドアナ大陸”の一部を構成しており, 始生代~原生代の岩石が広く分布する. 島の中央から東部にかけて全体の約3分の2の地域は, 約30~5.4億年前の始生代~原生代に形成された変成岩類・花崗岩類・ミグマタイト・塩基性岩類などの基盤岩類で構成される. これらの基盤岩類は, 原生代最末期から古生代初頭(約5.5~5.0億年前)にかけて高温高圧の変成作用を受け, 広範囲で再変成作用を被った. 一方, 島の西部には古生代・中生代・新生代に堆積した非変成の地層が分布する.


本調査地域では変成岩類・花崗岩類・ミグマタイト・塩基性岩類などが分布しており, 岩相のちがいにより「25の岩相単元」に区分した. 本地域における始生代~原生代の岩石は, 中央部を南北にはしる “Betrokaせん断帯” を境にして, 西側を “Androyenドメイン”, 一方東側を “Anosyenドメイン” にそれぞれ区分している. 変成作用の時期としては, 西側ドメインが東側ドメインより古い.


調査地域内において比較的規模が大きい鉱物資源は, “Ampandrandava” で採掘されている金雲母である. 調査地域東方には, かつて採掘されたウランートリウム鉱床が分布する. このほかの資源としては, グラファイト・マグネタイト・雲母類・希土類元素・金・ウランートリウムと, ベリル・コランダム・電気石・水晶・ザクロ石などの貴石類等が賦存する可能性がある.


本発表では, 地質・鉱物資源のほかに, トピックスとしてMadagascarの「火山」・「温泉」・「氷河」・「現地の生活環境」なども紹介する予定である.



講演要旨を含む広報用の資料はこちらから入手可能です.


第 3 回研究セミナー

終了しました. 参加者 22 名 (会員外 10 名を含む).

講演者:合地信生 (北海道総合地質学研究センター・斜里町立知床博物館)
講演タイトル:考古学と岩石学の接点 & ブラタモリ知床
日時: 2017 年 3 月 3 日 (金曜) 13:00–14:30
場所:かでる 2.7 (札幌市 中央区北2条西7丁目, 北海道立道民活動センター 620 会議室)

講演要旨:

博物館は専門が異なる学芸員が同じ空間で仕事をしており, 境界領域の研究がしやすい環境がある. 三内丸山遺跡の石斧について共同研究の機会があり, 北海道・北東北の石斧について岩石の種類・出土遺跡の時代を調べた. その結果, 平取産のアオトラ石と神居古潭峡谷産の青色片岩が広い地域に流通しており, 特にアオトラ石製石斧の流通が縄文時代の円筒式土器文化圏と重なることが分かった. 現在「北海道・北東北の縄文遺跡群」として世界遺産登録を目指しているが, それはアオトラ石の流通文化圏でもある. 今回, なぜこのような変成岩を縄文人が好んで使用したのか, また数千点の石斧データから縄文時代の前期~晩期にかけて, 産地からどのように運ばれたかについて検討する.


縄文式土器を作った土の産地と焼成温度については決定的な答えの出ていないテーマである. 粘土鉱物が焼かれ, それからガラスが形成され, それが粒子を結び付けるセメント物質として働き, 水を保持できる土器が作られたとの作業仮説のもとにガラスに注目した. 今回, 予備分析で時代の異なる 4 種類の土器中のガラスの水分量を計測すると, 焼きの良い土器ほど水分量が少ないことが分かった. 粘土鉱物からガラスが形成される場合, 粘土鉱物→水を含むガラス→ガラス + 水 の反応が生じ, 温度が高いほどガラス中の水分が少なくなると推察される. 経験でしか分からなかった焼成温度について定量化の可能性が見えてきた. また, ガラスの成分からもとの土の成分についての推察も可能と思われる.


昨年11月に「ブラタモリ知床」に案内人として参加した. 今回の講演の最後にその際のエピソードについて紹介する. タモリさんは想像以上の優秀な地質屋でした.



講演要旨を含む広報用の資料はこちらから入手可能です.


第 2 回研究セミナー

終了しました. 参加者 10 名 (会員外 4 名を含む).

講演者:宮下純夫 (北海道総合地質学研究センター・新潟大学)
講演タイトル:Chloritite bodies from the Oman ophiolite: A new aspect of the hydrothermal system beneath ocean ridge flanks
日時: 2016 年 8 月 14 日 15:00–17:00
場所: 北大・理・6号館 (札幌市北区)


第 1 回研究セミナー

終了しました. 参加者 7 名 (会員外 1 名を含む).

日時: 2016 年 5 月 29 日 (金曜) 13:00–14:30
場所:北大山岳館 (札幌市北区)

「研究セミナー・公開講座など」コンテンツ

2018/05–2018/09:HRCG 第 2 回公開講座「地形・地質から北海道の自然災害を考える」(北海道教育委員会主催 道民カレッジ連携講座指定, 一般社団法人 北海道地質調査業協会後援).


2018/07/21:HRCG 第 9 回研究セミナー. 川村信人, “岩清水古陸”−エゾ海盆中の前弧リッジ. 前原恒祐ほか, 寒冷地露岩斜面の岩盤内部温度の季節変動と初夏に発生する岩盤崩壊のメカニズムに関する考察.


2018/03/03:HRCG 第 8 回研究セミナー. 関根達夫, 幻の湖「古藤野湖」.


2018/02/03:HRCG 第 7 回研究セミナー. 山岸宏光, 水中火山のはなし –NHK ブラタモリ室蘭 (2017年11月25日放映) に関連して–.


2017/10/13–14:HRCG 第 1 回公開講座 (北海道教育委員会主催 道民カレッジ連携講座). 宮坂省吾, 札幌の失われた川を歩く.


2017/10/01:HRCG 第 6 回研究セミナー. 松田義章, 地学教育の課題とその改善.


2017/05/28:HRCG 第 5 回研究セミナー.


2017/05/07:HRCG 第 4 回研究セミナー. 石﨑俊一, Madagascar 南部の地質と鉱物資源.


2017/03/03:HRCG 第 3 回研究セミナー. 合地信生, 考古学と岩石学の接点 & ブラタモリ知床.


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