多摩高校見学会の現地案内者を担当した.報告は こちら [PDF link] (関根 記).
対象事業名: スーパーサイエンスハイスクール(SSH)国内(北海道)派遣研修
講演者:川村信人
講演タイトル:『地球変動と私たちの社会』
日時:2024/09/30 (月) 13:00-15:00
場所:北海道大学環境科学院講義室
参加者:日比谷高校1・2年生12名.引率教員2名.
概要:北海道は複数プレートの相互作用による変動帯である.その北海道の地形と地質を多くの図と写真を用いて紹介し,地球変動というものの実態・様相と本質を理解してもらった.その上で,我々の現代社会と地球変動とのかかわりについて,地球温暖化や自然災害の例を提示した.
用意した題材をすべて話すことはできなかったが,地球と人間社会について高校生である受講生に自ら考え始めてもらうという講義意図は達成できたのではないかと思っている.
講演後の質疑では,受講者から『日本海を造った陥没の原因はなにか?』『地質時代の氷河性海水準変動を求める手法は?』といった鋭い質問も飛び出し,不勉強な講演者の冷や汗を誘った.
講演者:川村信人
講演タイトル:『北海道2億年の成り立ち』
日時:2024/04/20 (土) 15:30-16:20
場所:北海道大学学術交流会館
概要:北海道の大地は,約2億年という長い歴史を持っている.その歴史の中で,アジア大陸縁辺部のプレート沈み込み,日本海の形成と日本列島としての分離,さらには千島島弧の衝突と日高山脈の形成という大きな地球的イベントを次々と経験してきた.本講演では,北海道のこうした地質学的発達史を踏まえて,我々が普段目にする北海道の地形や自然がどのようにして形成されてきたのかを時間をさかのぼりながら紹介した.
横須賀高校修学旅行の現地案内者を担当した.報告は こちら [PDF link].
講演者:川村信人
講演タイトル:『デジタル地形データから読み取る地質構造と地球テクトニクス』
日時:2021/03/04 (木) 14:00-17:30
場所:札幌サンプラザ1階コンサートホール
概要:デジタル地形データ(DEM)は,地形の標高を緯度経度などの位置情報とともに記録したデジタルデータセットである.地形を単純なメッシュ標高データに置き換えてしまえば,コンピュータプログラム処理によって,その多様な可視化や演算・変換が可能になる.本講演では,DEM 処理によって得られたさまざまなイメージ図とその解析結果から,地形と地質との切っても切れない関連性について述べた.
講師:川村信人
講演タイトル:『胆振東部地震と地質学』
日時:2019/10/18 (金) 15:00-17:00
場所:野外科学株式会社本社会議室
概要:2018年9月6日に発生した胆振東部地震(M6.7)は,広範なブラックアウト停電と甚大な地盤被害をもたらし,我々の防災意識にも大きな影響を与えた.地震の発生は地球テクトニクスと強いかかわりを持っており,その理解には地質学的・地球科学的な視点が重要である.本講習会では,活断層・地質構造・プレートテクトニクスなどの基本を確認し,それらと胆振東部地震の発生要因との関連性を学ぶことを目的とした.
なお,この講演事業収支を 公開 [PDF link] しています.
北海道中川郡中川町が主催する平成30年度中川町自然誌講演会の実施委託事業を行いました. 講師はいずれも当研究センターシニア研究員である 高波鐵夫 (講演タイトル:道北の地震と巨大地震科学) と岡 孝雄 (講演タイトル: 道北の地形・地質~天塩中川-問寒別盆地の成り立ち~) が務めました.その記録を 公開 [PDF link] しています. また高波鐵夫が後日参加者に配付した資料も 公開 [PDF link] しています.
北海道胆振振興局室蘭建設管理部苫小牧出張所安全協議会が主催する高速道苫小牧中央インター工事現場における地元小学生対象の地層(火山灰層)見学会の開催を後援しました.
地質の日記念展実行委員会と北海道大学総合博物館が主催する「地質の日」記念展「北海道のジオサイトに見る岩石」の開催に協力しました. 記録を 公開 [PDF link] しています.
NHK から最初の企画の相談が知床博物館にあったのは 6月の末でした. 8月にシナリオが出来上がり, 8月下旬に撮影の予定でしたが, 北海道を襲った台風の影響で撮影が急きょ 9月上旬に変更されました. 当初私は後半のウトロの地形と開拓の関係部分のみの案内人でしたが, 急きょ最初から案内をすることになってしまいました. 原稿を変更し, 再度現場検証をやり直し (何度船に乗ったかな), リハーサルの追加などしゃべることが苦手な私は大変な状況になりました. ブラタモリの収録はぶっつけ本番で, 取り直しはありません. タモリさんには番組の情報は一切知らせていません. カメラや音声を入れた案内人のリハーサルでは「タモリさんの番組ですから, タモリさんがしゃべらなくなると番組になりません. 先生は説明するだけでなく, タモリさんの会話を引き出すよう心がけて問いかけをしたり, 笑顔でタモリさんとの会話を楽しんでください.」とスタッフから言われました. またタモリさんに質問した際に返ってくる答についていろいろな場合を想定しての特訓がありました. 特に的確な答えがすぐに帰ってくると番組が予定のとおり進みませんから「その話は後でしますので, これについてまず考えてください.」とうまく流れを戻してくださいと言われました. 不器用な私が楽しく先を読んだ会話ができますか? 話す文章はカメラの横にカンペ (カンニングペーパー) が出ますが, 齢を取り視力は落ちる一方で, 文章は付け足した部分が多くて読みにくく, またスタッフの影になったりであまり頼りにはできませんでした.
収録 1日目はウトロから岬の間で何箇所か船を止め, 撮影しました. 断崖での柱状節理の説明はタモリさんの方がよく知っている様子でこちらはただ同意するのみでした. 評判が良かった片栗粉での柱状節理の実験は急に採用が決まり, スタッフが急きょ準備し, 当日やっと間に合いました. 私も見たのは本番でしたのでタモリさんの誘導に乗り, つい「パクッテいます」と言ってしまいました. タモリさんは以前知床にも来て船に乗ろうとしたそうですが, 天候が悪く乗れなくて残念な思いがあったようで今回の知床岬行きは大変楽しみにしていたようです. 日没ぎりぎりに岬の沖に着き, 自分のカメラで何度も撮影していました.
収録 2日目は小雨模様の中, ウトロ付近と羅臼の市街地の撮影でした. 最初の隆起現象が分かる露頭では, 布で横ずれ断層を起こし, そのしわで知床・国後の雁行配列を説明しました. 今回のメインの実験でしたので何回も練習し, 本番に臨みました. タモリさんは実に要領よく丁寧に実験し, 予定通りに進みました. タモリさんは絶好調でこちらの質問にはすぐに必要以上に詳しく答えを言ってしまうので, カンペは次どこから話を始めるかでとまどってしまいます. こちらも真剣に考えていると「先生かわいいネ」と茶化されました. 台本は全く当てになりません. それがブラタモリの面白さかもしれませんが. スタッフからは「何でもいいからしゃべっていてください. あとからの編集でどうにでもなりますから.」とずっと言われました. 放送ではナレーターの草彅さんがきれいに流れをつないでくれていますが, 現場は予想外の出来事ばかり.
今回の大きなテーマは「土壌化しやすい水冷破砕岩と土壌化が難しい陸上溶岩との境が世界遺産の境界」でした. 日本の海岸地形では海食崖が多く今までの番組で数多く見ているためか, タモリさんの海岸地形のセンスは抜群で, 水冷火砕岩の標高と陸上溶岩の標高差から水冷火砕岩の上に溶岩が流れていることをすぐに察しました. また, 放映ではカットされましたが収録では「溶岩デルタ」という専門用語を使い, 話を進めています. 私から「タモリさん, 溶岩がこのように流れた地形を知っていますか」と問うと, しばらくじっと考えて「溶岩デルタ?」と返答してきました. 「どうしてこんな専門用語知っているの?」 「昔読んだ本に書いてあったかなあ」. タモリさんは本当に地形や地質が好きなようです. 「笑っていいとも」の MC で旅行ができない時も, 地図がぼろぼろになるまで見て夢を膨らましていたとスタッフの人は話していました. 番組を見た人は, 事前に勉強しているのだろうと思われるかもしれませんがタモリさんの実力です.
最後に, スタッフから「合地さん, 最後に好きなこと言ってください」とけしかけられ, 「今まで知床で地質を詳しく取り上げられたことがなく, うれしい. これからも地質を番組で取り上げてください.」と全国の地質研究者を代表して ? カンペなしでしゃべってしまいました. かわいいアナウンサーの近江さんはスタッフからいじられ役で, 急にカンペで質問項目が出されたりして大変な役ですがニコニコして対応しています. さすが NHK のプロのアナウンサーです.
放送終了後, すぐにプロデューサーから好評という嬉しそうな声が携帯にかかってきました. 視聴率は 15 % もあり, 歴代のブラタモリでも 5位ぐらいに位置しており, 長い恥ずかしい戦いは無事終わりました.
※ 特定非営利活動法人 北海道総合地質学研究センターの各年度の年報 (公告・公開文書 の ページ ) もご覧ください.
2024/10/08:多摩高校見学会 現地案内者派遣
2024/09/30:日比谷高校SSH北海道研修 講師派遣
2024/04/20:日本衛生動物学会総会特別講演 講演者派遣
2023/10/17:横須賀高校修学旅行 現地案内者派遣
2021/03/04:試錐研究会特別講演 講演者派遣
2019/10/18:野外科学株式会社社内講習会 講師派遣
2018/11/01:北海道中川町開催「平成30年度中川町自然誌講演会」
2018/07/24:高速道苫小牧中央インター工事現場における地元小学生対象の地層見学会
2018/04/27–06/17:「地質の日」記念展「北海道のジオサイトに見る岩石」開催協力
2016/12/09:ブラタモリ「知床」撮影現場より
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