総合地質 2巻 1号 2018年10月25日発行


- 論説 -

北海道札幌市東区のボーリングコアにおける上部更新統~完新統の堆積環境と層序 [PDF link]
嵯峨山 積・佐藤 明・井島行夫・岡村 聡
総合地質, 2巻, 1–11 頁

要旨

上部更新統~完新統の層序を検討する上で, 14C 年代の測定, 火山灰や珪藻の分析は有効な手法であり, これらの測定や分析は土木構造物や建築物の基礎調査で得られたボーリングコアを用いて行うことが可能である. 札幌市東区においてボーリングにより長さ 43.50 m の後期更新世~完新世堆積物 (SL-2 コア) が採取され, 同堆積物の層序や堆積環境の解明のために放射性炭素年代測定や火山灰分析,珪藻分析を行った. 火山灰分析では,広域対比可能な約 4.1 万年前の支笏軽石流堆積物 (Spfl) や約 11.3 万年前の洞爺火山灰 (Toya), MIS5e 期の新たな火山灰 (札幌東区火山灰, SHa; 新称) を認定した. 珪藻分析により縄文海進時の汽水環境が明らかになり, 同海進高頂期の汽水湖は紅葉山砂丘から南長沼まで広がっていたと推定した. 今回の結果は, 今後の札幌市における地下地質の層序研究にとって有用なデータの1つと考える.



- アイデア -

堆積物に乏しい海溝から富んだ海溝への転換:白亜紀四万十帯を例にして [PDF link]
君波和雄
総合地質, 2巻, 12–19 頁

要旨

背弧盆や前弧盆は, 多量の陸源砕屑物を蓄えることができるので, それらの消長は,海溝への砕屑物供給に重要な影響を与えうる. 白亜紀古世後期の四万十帯付加体が非常に貧弱なのに対して, セノマニアン-前期コニアシアン (ca. 100–88 Ma) の付加体は厚い粗粒砕屑物から構成される. この事実は, 白亜紀古世後期の四万十海溝が堆積物に乏しく, セノマニアン-前期コニアシアンのそれが堆積物に富んでいた可能性を示唆する. 膨大な砕屑物をトラップした慶尚–関門盆 (背弧盆?) は, ca. 127 Ma に堆積を開始し, セノマニアン初期には終焉を迎えた. また, 黒瀬川帯の物部川層群を堆積した前弧盆は, オーテリビアンから前期バレミアン (ca. 130 Ma) に堆積を開始し, ca. 100 Ma に終焉を迎えた. これらの事実は, 慶尚–関門盆と物部川盆の終焉が海溝への多量の砕屑物供給と多量の付加をもたらした可能性を示唆する.



- 報告・資料 -

サハリン島マカロフ (知取) 北方地域の上部新生界 [PDF link]
岡 孝雄
総合地質, 2巻, 20–58 頁

概要

マカロフ北方地域にはティム‐ポロナイスク断層沿いに古第三紀末以降の地層群が東傾斜で累計約 5,000m の厚さで重なる. マルヤマ層はその上部を占める層厚 1,500m 弱の地層で, 珪藻化石年代などから 14~1 Ma 頃 (中期中新世末~前期更新世) の地層と見なされる. クリンカ川およびテルぺニア湾岸の調査を行い, 同層は下部 (砂質泥岩~中粒砂岩で第1~4部層に細分), 中部 (極細~中粒砂岩) および上部 (礫~砂礫岩・砂岩・板状泥質岩の不規則互層で亜炭をはさむ) から構成される. マルヤマ層下部~中部は貝化石を含む上方浅海化の海成層であり, 代表的貝化石のタカハシホタテは, 下部第3部層の上部から中部のトップまで産出が確認でき, 産出期間は珪藻化石年代から, 後期中新世末~前期更新世前半 (7~2 Ma 頃) のほぼ 500 万年間である. レルモントブカ南東海岸ではマルヤマ層中部に浅海域で形成された火山岩類の存在が認められた.



- 論文紹介 -

君波和雄

総合地質, 2巻, 59–60 頁 [PDF link]

Schellart, W.P. and Moresi, L., 2013. A new driving mechanism for backarc extension and backarc shortening through slab sinking induced toroidal and poloidal mantle flow: Results from dynamic subduction models with an overriding plate. Jour. Geophys. Res.: Solid Earth, 118, 3221–3248.

Zhang, S., Zhu, G., Liu, C., Li, Y., Su, N., Xiao, S. and Gu, C., 2018. Strike-slip motion within the Yalu River Fault Zone, NE Asia: The development of a shear continental margin. Tectonics, 37, doi.org/10.1029/2018TC004968.



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